ILCJ事務局次長・宮城島隆弘インタビュー (Part1)

「ILCJは困ったことを気軽に相談できる場」ILCJ事務局次長・宮城島隆弘インタビュー

 

サインポールレコーズのレーベルオーナーであり、ILCJ事務局次長を務める宮城島隆弘さん。放送二次使用料の徴収・分配、会員とのコミュニケーション、他団体との会合など、ILCJの実務を担っています。ILCJに入会した経緯、同会が果たす役割についてお話を伺いました。

(撮影協力:TOKYO SOUND STUDIO / 取材・文:野本由起)

手探りで始めたレーベル事業

──宮城島さんは、インディーズレーベル・サインポールレコーズのオーナーです。レーベルを立ち上げたきっかけを教えてください。

大学時代、音楽サークルに入って仲間とロックバンドを組んでいました。そのまま就職もせず大学に8年いて、最終的に中退したんですね。

その後も大学時代の仲間とライブイベントなどを開催していたのですが、そこで知り合ったミュージシャンのひとりが「CDを出したい」と言うので、「じゃあレーベルを作るか」と。そこで、2002年に会社を設立しました。僕はバイト生活でしたし、他のメンバーも会社員だったので、当初は会社というよりサークルの延長のような感じでしたね。2006年からは僕が代表を務めています。

 

──バンドの経験があるとはいえ、レーベル事業に挑戦するのはハードルが高かったのではないでしょうか。

そうですね。一緒にレーベルを立ち上げたメンバーも業界経験がありませんし、最初は何もわかりませんでした。本当に手探りで、「レコーディングは誰に頼もう」「CDを作るにはどうしたらいいんだ」と悩みながらも知り合いのつてをたどってなんとか形にしました。

 

──最初にリリースしたのは、どんな作品でしたか?

ソロ・ギタリスト城直樹のインストをリリースしました。

 

──第2弾以降は、どのようにしてラインナップを拡大していったのでしょう。

城直樹はストリートでも演奏していたので、そこで知り合ったミュージシャンから声をかけられるようになったんです。その流れでインスト・ギターデュオの音更、ポップスのDouble Orangeの音源をリリースしました。

ソロ・ギタリストから始まったレーベルなので、他のラインナップもギター・インストが中心です。のちに共同レーベルを立ち上げたギタリストのAKIがモリダイラ楽器(モーリスギター)主催のフィンガーピッキング・コンテストで審査員をしていたので、その会場で物販しようということになり、若手ソロ・ギタリストのデビュー作なんかを取り扱うようになっていきました。

 

──海外アーティストの音源も扱っていますが、どういった経緯で契約に至ったのでしょうか。

ネットでアコースティックレーベルを検索したのか、ある時イタリアのインディーフォーク・バンドからメールが届いたんです。メンバーのひとりがたまたま日本に滞在していたので実際に会って、音楽を聴かせてもらいました。そうしたら、好みの音楽だったのでサインポールレコーズで扱うことに。彼は日本での留学経験があり、日本語でやりとりできたのも大きかったですね。

その後は、その人からオランダのスロー・コアのバンドをも紹介して勧めてもらったり、ショーケースで知り合ったアーティストと契約したりしながら、関係が広がっていきました。

ILCJに加入してからは、各国の在日大使館に招待され、インディーズミュージシャンやレーベルの商談会に参加する機会も増えて。契約しているアーティストは、すべて海外ではなく日本で出会いました。

 

 

アーティストは人生をかけて音楽と向き合っている

──サインポールレコーズでリリースするか否かは、宮城島さんがジャッジしています。宮城島さんの琴線に触れるのは、どういった音楽でしょうか。

傾向としては、暗い音楽でしょうか(笑)。売れ線ではないですね。

エレクトロニカを通ったポスト・クラシカル、ドリームポップ、スロー・コアなんかが好きですが、日本にはなかなかないジャンルなので紹介が難しいんですよね。レーベルのカラーとしては、どちらかと言えばアコースティック系が多いです。

 

──レーベルオーナーとして音楽業界に身を置く中で、転機となった出来事はありますか?

正直なところ、大きな事件はありません。いろいろやっているとあちこちから声がかかり、顔を出しているとまた関係が広がる。基本的には、成り行きまかせでこれまでやってきました。

ただ、やらかしてしまったことはあります。印象に残っているのは、楽器メーカーとのエンドースだったか、アーティストに楽器を選んでもらったのですが、年末だったので年が明けてからメーカーに連絡することに。ですが、その間に他のアーティストが同じモデルを選んだので、その楽器が手に入らなくなってしまって……。代わりのものを選んでもらうしかなく、アーティストに迷惑をかけることになりました。

 

──そういった経験を踏まえ、アーティストと向き合ううえで大切にしていることは?

大げさかもしれませんが、彼らの人生がかかっていることは忘れないようにしています。こちらが少し怠けたことで、アーティストが大きなチャンスを逃してしまう可能性もある。それは常に意識するようになりましたね。

 

パート2へ続く。。