SXSW-2017レポート

SXSW2017ミュージックレポート||

sxsw2017レポート写真1SXSW(サウスバイサウスウエスト)は、ITビジネスの未来を語るために音楽と映画と人生を愛する人々が集う世界最大マルチメディアの祭典、SxSW。米国テキサス州オースティンで毎年3月に開催。1987年にインディーズの音楽祭としてはじまり、のちにFilmと Interactiveを加えて、現在は10日間で20万人以上を集める世界最大級のイベントになっています。

今回で5回目となる山崎千裕+ROUTE14bandの出演に辺り、感じたこと思ったことをレポートとして記します。 今年のSXSWの開催期間は3/10~3/19でその中でMUSICは3/15~3/18となる。参照URL
SXSWは音楽だけでなく、インタラクティブやフィルム、ゲームなど世界各国の最 先端の技術やアイデアを披露し、ビジネスチャンスを得たり、世界中に拡めるという意味では世界的に有名な見本市だ。

前述のインタラクティブや、フィルム、ゲームに関してはそれぞれに素晴らしいレ ポートを書いている方がいらっしゃるので、今回のレポートは音楽に絞って書いていきたい。
私はアーティストとして参加するのが今回で5年連続5回目になるが、慣れてきた分、見えてくるところが沢山ある。大きな変化ではないが、肌で感じることはSXSWは音楽フェスティバルの意味合いが少しづつ弱まっている(というより、インタラクティブやゲームの勢いが強まっ てきた)と感じている。

5年前の2013年に初めて行った際は町中が音楽で溢れて、期間中にできるコンベン ションセンター内の各国の楽器出店ブースも賑わい、そこら中に世界的に有名なア ーティスト(Dream Theaterのジョーダンルーデス、グラミー賞を受賞しているハイエイタス・カイヨーテ、スナーキーパピーなど)や大企業の社長(Monsterケーブルの社長など)が歩いて立ち話をしていて、誰でも気さくに話しかけることができ、ビジネスカードがいたるところで交換され、みんなフレンドリーなやりとりをしたのを覚えている。

ところが、近年はお祭り騒ぎ的な部分は全く変わらないのだが、街中に溢れている 人やパフォーマーはただ騒ぎたい人たちで溢れており、そもそもの目的(見本市という意味)である、アーティストの発掘やレーベルとの契約などビジネス的な要素がなんだか薄れてきてしまっている様な気がした。少し悪く(汚い言葉で)書いてしまうと、ただ盛り上がりたいだけの人たちが街中に 溢れて、パーティピーポーばかりが目につきSXSWでバッジを購入している人たちはコンベンションセンターのセミナーや、きれいに作られたイベントスペースでのライブなどでしか見ることはほとんどなく、バッジホルダーは「そんな騒がしい夜は面倒なのでとっとと帰って翌日に備えよう。」という感じにも見えてしまった。

メイン通りである6thストリートは夜になると人混みと騒音でカオスな
状態に。とはいえ、コンベンションセンター内で行われていた、音楽のビジネスセミナーはどこも盛況で多くの記者やアーティストが耳を傾けていたので、目的を持って参加している人たちの意識は相変わらず高いとも言えるため、規模が大きくなりすぎたSXSWに限られた時間で参加している人たちにとっては、無駄なライブに構っている暇がないのかもしれない。

 

メインのコンベンションセンター
さて、肝心の自分たちのライブについては、5回目ともなるとある程度のファンの 方がついているため、会場に着くと多くの方に声をかけられ、私たちがスタートする頃には満席の状態になっていた。
終演後、スタンディングオベーションの中、大盛況のうち幕を閉じるとCDやグッズの販売になるのだが、毎年聞かれることは、「ダウンロードやストリーミングサ ービスで聞けないのか?」または「ダウンロードカードは無いのか?」そして「クレジットカードは使えないのか?」というお決まりの言葉をいただく。

バンド自体はインディーズで活動しているため、バンドの音源はSPACE SHOWER を通し、iTunesはもちろん、AppleMusic、Spotify、KKBOXなどのデジタル配信はしているが、山崎千裕のソロ名義のアルバムはSonyMusicArtistsが原盤を持っているので、海外での配信・販売は基本的にNG(海外のレーベルやアグリゲーターが原盤権をライセンスしてくれない限り)なので、配信はもちろん、CD自体も売ることができない。さらにはYoutubeでMVすら観ることができない。

さらには昨年8月に三大メジャーではない(ドメスティックメジャー)キングレコ ードで発売をした山崎千裕が参加しているユニット「三角関係feat.三浦拓也」はMVのYoutubeこそ観れるものの、海外でのデジタル配信はまだ消極的であり、アメリカ国内ではまだ配信は始まっておらず、現状は日本国内と韓国国内にとどまってしまっている。詰まる所、現状は自分達だけで原盤、出版を保有しリリースをしている音源でない 限りは自由に世界中で販売をすることはできず、すでに日本のメジャーと契約してしまっている音源に関しては、海外のレーベルからおいしい話を自分達で持ってきて、自分たちが契約しているメジャーレーベルと話し合いの場を作り、契約まで漕ぎ着けるしか現状では打開策はない。

クールジャパンと銘打って、国内の良いものをどんどん海外に出していこうという名目の元、日本の音楽業界は契約や条件に縛られて、自分達の音源すらまともに海外で販売できないのが現状だ。今後、現場レベルでそういった現状を理解している人間が、どの様に日本の音楽を海外で売っていくかというのを本気で考え取り組まなくてはならないと痛感しました。

さて、話を戻すと SXSW 自体はアーティストへ対しての敬意が素晴らしく、飲食が無料のブースやアーティストしかもらえないグッズ、マッサージサービス、メー クサービス、ネイルサービス、そしてフィルム、コメディ、ゲーム、インタラクテ ィブのセミナーや上映会など、本来であれば1,650USドル(日本円で約181,500 円、1 ドル 110 円計算)掛かるプラチナムバッジと同等以上のアーティストリス トバンドを貰えるため、会期中は飲食も遊びも勉強も何一つ困ることがない。

アーティスト自身にとって良いことは世界各国の素晴らしい音楽を生で体感し、交流できるのが何よりの経験であり、宝になると思うので、ぜひ日本のアーティストには生で現地でそれらを体感して欲しいと思います。
ただそれには、問題が未だに多くあり、韓国や台湾のアーティストと現地で話をすると「日本は音楽業界が盛り上がっているのに、なんでアーティストが自費で SxSWに来るんだい?」と会う度に言われてしまう。彼らは国の援助を受けて国策として音楽を支援している体制をとっている為、助成金で渡米しているのがほとんどだからだ。 もちろん、自分たちの経験の為に行くので自費で行くのも悪くは無いが、前述の通 り日本の場合、海外で国内の音源を売ることすら容易ではなく、これだけ問題にな っているビザの問題もシリアスに捉えず、まるで他人事の様に考え、真面目に取り組もうとしない現状をみてしまうととても残念な気持ちになってしまう。

今後、ダンロード販売を始め、ストリーミングサービスが日本でも主流になってい く中で、世界基準で考えている人たちとどうやって渡り合い、そして、日本のコン テンツをどうやって海外に出していくかを、国内でデータを眺めて対策を立てるのではなく、アーティストもマネジメントもレーベルも、ぜひ、現地に行き、現場ではどの様なことが行われているかを是非体感していただきたいと思いました。

まとめ
・ SXSWは毎年参加者が増え、規模が大きくなっている。
・ 最近は音楽より、ゲームやインタラクティブの人気がすごい。
・ アーティストにはとにかく優しいイベント。
・ 夜は騒ぎに来る人(パーティーピーポー)がとても多く、ちょっと面倒。
・ 日本のメジャーレーベルと契約した音源は現地で販売することはほぼ難しい。
・ ビザはちゃんと取りましょう。
・ 音楽業界に関わる以上、一回は現地に行きましょう。
・ CDを聴く機械を持っていない人が増えてるので、デジタル配信は必須。
・ 物販するときは現金よりもクレジット決済に対応できる様にしましょう。

 

以上、稚拙な内容ですが最後までお読みいただきありがとうございました。

TYCompany 合同会社 山下 智||

出演アーティスト 山崎千裕+ROUTE14band